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特別コラム 第2回「感染症対策とSDGsの役割」

コラム

2020年5月19日

特別コラム 第2回「感染症対策とSDGsの役割」

こんにちは。おおさかATCグリーンエコプラザ 環境アドバイザーの立山裕二です。
今回は「感染症対策とSDGsの役割」について考えてみたいと思います。

感染症対策とSDGs

SDGsのグローバル・レベルにおいての目標は以下の17項目です。

目標1.

あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

目標2.

飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。

目標3.

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

目標4.

すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。

目標5.

ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う

目標6.

すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

目標7.

すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。

目標8.

包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

目標9.

強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

目標10.

各国内及び各国間の不平等を是正する

目標11.

包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

目標12.

持続可能な生産消費形態を確保する

目標13.

気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

目標14.

持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

目標15.

陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

目標16.

持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

目標17.

持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

感染症に関連するターゲットは?

また169のターゲットについては、感染症に関連する項目を取り上げてみても以下の通り数多くあります。

3.3
2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。

3.8
すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。

3.b
主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。
また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への
医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。

3.c
開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。

3.d
すべての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。

SDGsは、すべての項目が関連し合っている

SDGsでは、すべての項目が関連し合い、一つの問題を解決することで他の問題も改善に向かう可能性が強まります。

SDGsに熱心に取り組んでいる方の中には、自分のこれまで行ってきた活動を最重要視する人がおられます。そう考えるのも仕方がないのかもしれませんが、すべてが関連しあっていることを意識することで、世界で発生している複数課題の解決が早まる可能性があります。

ここに目標17の「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」という項目の存在価値があると思います。

SDGsの多くは2030年までに実現可能かどうかという根拠には基づかず、あるべき理想の姿として設定されています。そのため、目標が結果的に達成できなかったとしても、それを未来に活かし努力を続けることが大切とされています。

ただ国連は、【持続可能な開発目標レポート(2018年7月)】で次のように述べています。

人々は10年前に比べるとより良い生活を送るようになったが、2030年までに目標を達成して『誰一人取り残さない』ようにするには今の取り組みのペースでは遅すぎる。すべての関係者による緊急かつ加速化された行動が必要だ。

SDGsは「あるべき理想の姿」として目標を掲げていますが、今後は「実現することを前提にした政策と行動」が政府にも企業にも求められるようになるのではないでしょうか。

前述の『持続可能な開発目標レポート】で言及している「すべての関係者による緊急かつ加速化された行動」を全世界の(すべての関係者による)グローバル・パートナーシップで実現させたいものですね。

次回は、SDGsの大きな目的について取り上げてみたいと思います。

コラム著者

サステナ・ハース代表、おおさかATCグリーンエコプラザ環境アドバイザー

立山 裕二