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期待される『環境放射能除染・廃棄物処理国際展』(RADIEX2012)の成果

期待される『環境放射能除染・廃棄物処理国際展』(RADIEX2012)の成果

 

■講師

環境新聞事業部 部長
酒井 剛氏

 

(1)開催趣旨と概要
今日は「期待される環境放射能除染・廃棄物処理国際展(RADIEX2012)の成果」について、ご報告させていただきます。

 

ご存知の通り、福島第一原子力発電所での事故により放出された放射性物質による土壌汚染等が、国家的な問題となっています。放射性物質汚染対処特措法が今年1月に全面施行となり、本法に基づいて福島県を中心に11市町村を除染特別地域、104の市町村が汚染除去重点調査地域に指定されまして、本格的な除染が進められることになっています。しかしながら、この除染やそれに伴う土壌・廃棄物の処理については未経験でもあり、国内外の有効な技術・製品を集結する必要があるという状況です。これらの課題を克服しながら、実効ある除染を推進し、被災地と日本の復興につなげていこうという考えは皆さん持たれておられると思います。その様な状況の中で、環境新聞社では「除染からはじまる地域の再生」をテーマに、除染やそれに伴って発生する土壌・廃棄物の処理、処分に関する国内外の技術、装置、機器、用具などを一堂に紹介し、よりよい製品の普及の一助となるべく「環境放射能除染・廃棄物処理国際展(RADIEX2012)」と、海外の事例など今後の対策推進に有益な情報を発信する「RADIEXフォーラム」の開催を企画し、今年初めて開催したわけでございます。

 

概要をご紹介しますと
テーマ:「除染からはじまる地域の再生」
会期:9月24日~26日の3日間
会場:科学技術館 展示ホール
後援には、関係省庁として環境省をはじめ文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、福島県。関係団体としては独立行政法人 国立環境研究所、日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所などに後援いただきました。
特別協力としては、一般財団法人 日本環境衛生センター、社団法人 土壌環境センター、公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団、日本産業廃棄物処理振興センター、全国産業廃棄物連合会、一般社団法人 日本環境測定分析協会にご協力いただきました。
協賛については、財団法人原子力研究バックエンド推進センター、除染・廃棄物技術協議会、環境放射能除染学会など12の団体からご協力をいただきました。
開催規模は、112社111小間(共同出展社含む)。来場者は、3日間で10,450名にのぼりました。
展示会の内容ですが、除染事業に関する、測定~除染~処理・処分の一連の流れを紹介して、展示をおこないました。会場内を「測定/分析ゾーン」「除染技術ゾーン」「除染に伴う廃棄物の処理処分ゾーン」「総合ゾーン」「パブリックゾーン」の5つのゾーンにわけまして、来場者の目的にわけて見やすいゾーンニングといたしました。

 

(2)展示会場の様子
●測定/分析ゾーン
測定/分析ゾーンへは、日本気象協会、NTTアドバンステクノロジ、日立アロカメディカル、アナリティクイエナジャパン、エステー、堀場製作所など、25社に出展していただきました。
●除染技術ゾーン
このゾーンでは、三協興産のロボットによるブラスト除去装置の展示や、新潟県のマコーの除染用ウェットブラスト手動装置等のデモ機の展示がありました。阿南電機からは、スリーマイル島原発事故で実際に除染作業を行なうために開発されたアメリカPENTEK社の機械式ダストレス除染システムの展示もありました。
●廃棄物処理ゾーン
前田建設は、亜臨界技術による放射性物質除去技術の展示をしていました。また、長野県のフジコーポレーションでは国立環境研究所との共同研究で、8000ベクレル以上の高濃度焼却飛灰の不溶化技術が運用可能なところまできているといった展示もありました。
カナフレックスコーポレーションからはコンクリート製保管容器が展示されていました。IHIからもコンクリート保管容器が展示されていました。大阪のフクナガエンジニアリングもフレコンバッグの展示をされていました。廃棄物ゾーンではこうした保管容器を中心に8社の展示がありました。
●総合ゾーン
ここには、清水建設、鹿島建設、大成建設、大林組をはじめとするゼネコン企業からの出展がありました。除染に関して環境省からの予算がゼネコンへ流れるのはいかがなものか、という意見もありますが、これはゼネコン企業が受けざるを得ないと思います。その理由としては、何百名という現場作業員の監督などについては、やはりゼネコン企業が担当しなければできないということ。さらに各種技術の選定・採用からリスク管理などについてもゼネコン企業を窓口にしないと難しい面があるのではないかと思います。
●パブリックゾーン
パブリックゾーンは公的な機関のゾーンです。環境省と福島県とは共同出展しました。福島県は出展予算がないということでしたが、東京から福島の情報発信をする機会が減っており、ぜひとも東京から福島の現状を発信したいということで、環境省に相乗りできないかとのお声があり実現いたしました。このほか、日本原子力研究開発機構、日本分析センターはじめ7団体の出展がありました。

 

海外企業では、6か国から15社の出展がありました。アメリカのインターナショナルメディコム社は測定関係の企業です。ドイツ・ケルヒャーの日本法人ケルヒャージャパンも出展されました。フランスのアレバ社はグループとして出展されました。また、フィリピンのパクテック社からはフレコンバッグの出展がありました。

 

(3)「RADIEXフォーラム」について
フォーラム初日は、南川環境事務次官による「放射能汚染とこれからの環境行政」とのテーマで講演をいただき、午後からは「福島県の除染対策について」~市町村除染の推進に向けて~と題し、福島県生活環境部除染対策課課長の遠藤氏による基調報告があり、現状報告ののち「適切な除染で環境回復の道筋を」というテーマで、パネルディスカッションを行いました。パネラーには、遠藤氏のほか、伊達市市民生活部放射能対策課課長の田中氏、国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター長で環境放射能除染学会副理事長の大迫氏、除染・廃棄物技術協議会代表幹事の佐藤氏にご参加いただき、ディスカッションを行っていただきました。約280名の聴講があり、椅子席が足りず立ち見も出るほどの盛況でした。
環境放射能除染学会と除染・廃棄物技術協議会について少しご紹介いたします。
環境放射能除染学会は昨年11月に発足し、環境サイドの学識経験者を中心に構成されています。除染・廃棄物技術協議会は民間サイドを中心に組織され、発起人として東京電力、代表幹事が大成建設、幹事としてアトックス、鹿島建設、東電環境エンジニアリング、DOWAエコシステム、日本ガイシということで、第一期では96社が参加されています。
南川事務次官の講演では、特別地域内除染実施計画等にのっとった当面2年間(24,25年)の方針ということで、年間50ミリシーベルト超えの地域を除染モデル実証事業とし、その結果を踏まえて対応の方向性を検討することや、年間20~50ミリシーベルト超えの地域では、平成25年度内をメドに、住居等や農用地における空間線量が年間20ミリシーベルト以下となることを目指し、年間20ミリシーベルト以下の地域では、長期的に、追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となることを目指すという目標ですすめていき、26年以降の方針としては、長期的目標として追加被ばく線量が1ミリシーベルト以下となることを目指し、2年間の除染の結果について点検・評価し、対応方策を検討後、計画の見直しを含め適切な処置を講ずるとの方針が示されています。その他、「放射性物質汚染対処特措法に基づく除染等の措置」や「グリーン成長の実現に向けたイニシアティブ」といった内容のお話いただきました。

 

パネルディスカッションでは、まず福島県生活環境部除染対策課課長の遠藤氏より、平成24年度除染関係県予算についての説明があり、全体では約2437億円だったということです。参考までに申しあげますと、国全体での除染関連予算は4213億円、来年度概算要求として除染につきましては4996億円、中間処理施設関係で139億円、放射能汚染廃棄物処理費として1332億円となっています。福島県からは他に「除染予算の全体イメージ」ということで、「市町村の除染推進における課題と取り組み」についてもお話いただきました。福島県における課題と取り組みとしては、「仮置場の確保」「除染対象事業交付金の迅速で柔軟な執行等」「市町村が行なう発注業務等への支援等」があげられており、その課題解決へ向けた取り組みとしては、仮置場の確保については「専門家の派遣に加え、先進事例の紹介や現地視察会を通じ、市町村と一体となって推進を図る」ことと、「「県有施設の除染に伴う除去土壌等の保管の基本方針」に基づく円滑な除染の推進」をあげています。また除染対象事業交付金の迅速で柔軟な執行等に対しては「福島環境再生事務所など、現場に近いところで判断出来る仕組みづくり」をあげ、発注業務等への支援等については「除染業務発注のための標準仕様書例や積算基準例の作成と市町村への提供」をあげています。

 

除染・廃棄物技術協議会の廃棄物分科会第一期(~2012年8月)の検討内容をご紹介します。除染・廃棄物技術協議会には「除染マネジメント分科会」「除染技術分科会」「廃棄物分科会」の3つの分科会があり、それぞれ情報共有を行って実践につなげようと活動しており、その課題として「放射性物質汚染廃棄物の輸送・保管における課題」「可燃性廃棄物処理の課題」をあげています。具体的な検討内容として、放射性物質汚染廃棄物の輸送・保管については「輸送時に配慮すべき要件」「運搬の効率化のための方策」「物流全体の管理」等とし、可燃性廃棄物処理の課題については、前処理段階で「仮置場等での適切な分別方法」「適切な焼却の前処理方法」を、焼却処理段階では「焼却施設の設置場所」「既存焼却施設を活用して放射性物質汚染廃棄物を処理する場合の要件」「施設を新設する場合の望ましい処理施設の要件」「溶融施設有無を考慮した廃棄物処理コストの比較」「焼却炉のメンテナンスにおいて、配慮すべき要件」等をあげています。

 

次に環境放射能除染学会 大迫先生からは、「環境放射能問題の出口戦略」についてお話いただきました。その中の「中間貯蔵施設としての出口」についての提案では、大迫先生は「種類・性状や放射能レベルに応じたカテゴリー分け」「除去土壌の扱い」「減溶化技術の位置づけ」といったことが重要であるとし、「除染→中間貯蔵等に係る技術課題のイメージ」のスライドで、除染現場から仮置場を通り、「可燃物」「不燃物・混合物」「危険物・有害物等」といった3つのカテゴリーで分けて選別・減溶化などを行ない、最終的には「管理型処分場」「中間貯蔵施設」など適切な施設へと流れるイメージを、案として提示されました。そして最後に今後の課題について「除染や放射性物質汚染廃棄物処理について、具体的なグランドデザインとロードマップが不明確」「コストを考慮した技術合理化vs社会受容性や時間等の社会側面影響」さらに「社会側面を考慮した現実解の同時探索」そして「一つの技術システムの決め撃ちは、社会にとって極めてリスクが高いため、リスクヘッジとして複数シナリオ想定の技術開発を同時進行で進めるべき」との見解を示し、除染学会はシナリオプランニングと技術システム設計・評価の場として活動するとのお話をされました。

 

2日目は、国によって行なわれた「除染モデル実証事業」の成果報告会を開催しました。はじめに環境省福島除染推進チーム次長の西山氏より「除染に関する環境省の取組」と題してお話しいただきました。その後、ABCの3つのグループによる除染モデル事業の結果概要について、それぞれ大成建設株式会社環境本部土壌環境事業部第一技術室室長の樋口氏、鹿島建設株式会社環境本部次長の押野氏、そして株式会社大林組原子力本部原子力環境技術部部長の河村氏にご報告いただきました。そして最後に日本原子力研究開発機構福島技術本部 福島環境安全センター研究主席の宮原氏にまとめていただきました。
こちらの実証事業は、内閣府から日本原子力研究開発機構への委託事業で、企画公募により選定された大成建設、鹿島建設、大林組の3グループで試験データを収集し、自治体や関係企業向けにデータを提供しています。実際に得られた知見として、除染対象に関する分析については、宅地、大型建物、農地、道路、公園グラウンド、森林樹木をあげ、除染付帯作業に関する分析では、洗浄水の処理、枝葉等の除去物減溶化方法、除去物発生量、仮置場/現場保管場、除染作業員の放射性被ばく管理、除染方法ごとのコスト、があげられました。

 

3日目は「海外除染関連企業によるプレゼンテーションとパネルディスカッション」を行ない、基調講演では仏アレバ社 マクシム・プラソー氏と、インターナショナルメディコム社 ダン・サイスCEOにご講演いただきました。昼食後は、アーヴィア・テクノロジーリミテッド社 マーティン・キーリーCEO、エンバイロメンタルオルターナティブス社 クリストファー・ノートンCEOにご講演いただきました。そして、これらの海外企業が参加するランチョンパーティーを開催しました。そして自治体の取り組み報告として、南相馬市における除染状況を、南相馬市復興企画部除染対策課課長の羽山氏に、「小高新生のビジョン」と題して福島大学経済経営学類の奥山教授にご講演いただきました。

 

南相馬市・羽山氏の講演では、除染にかかる課題として「放射能の影響への不安から周辺住民の理解と協力が得られず、仮置場の確保が進んでいない」こと、「国が3年程度で設置するとしている中間貯蔵施設について、市民からは全く信用されていない」こと、さらに「除染を実施するに当たっては、住民説明会、除染にかかる同意の取り付けや要望等への対応等住民対応が多い」こと、「一戸々の住宅等の状況が様々であり、除染対策範囲・方法の決定に相当の労力を要する」こと、「除染ガイドラインのとおり除染を実施しても除染効果が得られないケースがある」こと、そして最後に「除染にかかる費用について、事業者の見積額が交付金で想定していた額より大幅に高額となっており、交付金で対応ができるか不安である」ことの5つの課題があげられました。
福島大学・奥山教授の講演では、南相馬市の小高地区における新生ビジョンとして「環境と福祉の街造り」をテーマにバイオマス中心のクリーンエネルギーを地産地消でおこなっていき、子育て連携もやりながら新生していこうというビジョンをお話いただきました。
また、別会場にてテクニカルセッションも行いました。「除染作業における労働安全の衛生管理」と題して、中央労働災害防止協会関東安全衛生サービスセンター副所長の小泉氏にご講演いただき、午後には「放射性物質汚染対処特措法の解説セミナー」を開催しました。こちらも約150名の聴講者となりました。
その他、出展者によるプレゼンテーションを3日間通して行ない、各回において盛況でした。出展者からは効果があったという意見が多くあり、また来場者アンケートでも肯定的な意見が多数を占めました。

 

(4)まとめ
今回の展示会は一般来場者よりも除染にかかわる専門家を中心に動員をはかったため、来場者は絶えず、また各ブースを丹念に見てまわり、会場滞在時間も長く、盛況でありました。また各フォーラムや出展者プレゼンテーションにおいても立ち見がでるほど大勢の聴講者が参加していたことは、我が国初の除染に特化した展示会としては成功裏に終えることができたものと思います。また来場者と出展者との間での商談成立事例が多くきかれ、実際に成果をあげているとの声も出展企業から複数いただきました。福島県をはじめ、伊達市や南相馬市などの現状報告を含めた地方の現状を、マスメディアの取材を通じて東京から全国へ発信できました。これらのことから、当初の目的であった国内外の技術・装置・機器・用具などを一堂に集めての、より良い製品や技術の普及活動が、福島復興への一助になったと考えられます。次回の開催は、来年2013年9月25日(水)から27日(金)までの3日間を予定しております。会場は今年と同じく科学技術館での開催です。ご期待ください。

 

今回の展示会ガイドブックと講演資料は若干の残量があります。ご希望の方は、RADIEX2012事務局のホームページ:http://www.radiex.jp/よりお申し込みください。