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Rio+20に参加して

Rio+20に参加して

 

■講師

(社)グローバル・コンパクト・ジャパンネットワーク事務局長

宮本 武氏

 

(はじめに) グローバル・コンパクト(GC)とは
GCは企業の集まりです。2000年に当時のアナン国連事務総長の提唱により設立されました。本部は事務総長室にあります。企業セクターの参加が重要だということで、企業が創造的なリーダーシップを発揮して持続可能な成長を実現するための枠組み作りに参加していただく取り組みです。人権、労働、環境、腐敗防止の4つの分野で10の原則を設け、それに賛同する企業トップのコミットメントのもとにその実現に向けて努力しています。参加署名企業は、この10原則の実践状況と成果を毎年GC本部に提出することが求められています。


■グローバル・コンパクトの10原則


【人権】企業は
原則1:国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重し、
原則2:自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである。


【労働】企業は、
原則3:組合結成の自由と団体交渉の権利の実効的な承認を支持し、
原則4:あらゆる形態の強制労働の撤廃を支持し、
原則5:児童労働の実効的な廃止を支持し、
原則6:雇用と職業における差別の撤廃を支持すべきである。


【環境】企業は、
原則7:環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持し、
原則8:環境に関するより大きな責任を率先して引き受け、
原則9:環境に優しい技術の開発と普及を奨励すべきである。


【腐敗防止】企業は、
原則10:強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むペきである。

 

(1)Rio+20関連イベント概要
Rio+20については、「持続可能な開発に関する国連会議」として皆様よくご存知と思います。1992年リオで最初の地球サミットが開かれてから、今年で20年経ちました。この20年間の成果と進捗状況を振り返り、さらなる行動と進展に関する協議を目指したのが、このRio+20です。
目的としては
・持続可能な開発に関する過去の主要サミットの成果の進捗状況と残る課題についての評価
・持続可能な発展への新たな政治的コミットメントの確保
・新たに表れた課題への対応


テーマとしては
・持続可能な開発及び貧困撲滅の文脈におけるグリーンエコノミー
・持続可能な開発のための制度的枠組み
・地方・国・地域・国際レベルのガバナンスの強化
といったことでした。

 

開催日時は2012年6月20日から22日まで、場所はリオデジャネイロ セントロ会議展示センターでした。政治的会議はこの3日間でしたが、他にも、NGOや企業による多くのサイドイベントが実施されました。これには191の国と地域から約4万5千人が集まったといわれています。
会場はサイドイベントも含めて4ヶ所に分かれていました。リオデジャネイロの中心部から南へ少し下ったポートエリアはNGOの展示・イベント会場で、NGOのテントが立ち並んでいました。またフラメンゴ地区はビルの中にNGOの展示会場があり、市民が多く訪れていました。フラメンゴの南の海岸部には、コパカバーナやイパネマといった有名なリゾート地があります。海岸部をさらに西にいったところに、CSF(Corporate Sustainability Forum)とBASD(Business Action for Sustainable Development)というビジネスセクターの会議場があります。メイン会場のリオセントロ会議展示センターでは、メインのセッションの会議場と政府等のパビリオン会場がありました。警戒は非常に厳重で、軍・連邦警察・警察などの部隊が出動し、海には軍艦が並び、空にはヘリコプターが舞うという物々しい状況でした。
メイン会場の周辺でも、各国政府主催、企業主催などのサブイベントもたくさん開かれていました。すべてがパラレルで進行していましたので、全部を見ることはできなかったのが少し残念です。英語でいうとアスリートパークといわれるところでは、各国のパビリオンが並んでいました。日本政府のパビリオンもありました。日本パビリオンは半数が政府、半数が企業の出展でした。ジャパンデーには大変盛り上がったと聞いています。アメリカのパビリオンでは、出展物はなくて、連日いろいろな団体のトークセッションが開催されていました。EUなどでも同様でした。Rio+20のサブイベントで、さまざまなディスカッションが行われたということが、今回の大きな特徴かなと思います。本会議のほうは政治的なセレモニーに終わったといわれていますが、サブイベントは非常に充実していたのではないでしょうか。

 

(2)Rio+20の成果文書『我々の求める未来』概要
成果文書を見ますとゼロドラフト(素案)とあまり変わってないように思います。特に眼を引くのは、持続可能な開発と貧困撲滅のためのグリーン経済と持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)です。グリーン経済については、国連環境計画の定義もあるのですが、途上国からの反対もあって、定義を行わず、「持続可能な開発を進めるためのツール」であるということにし、実現方法は各国所定としました。実質は、共通ではあるが差異がある、ということになったのではないかと思います。日本政府からはグリーン経済の意義ということで「自然界からの資源や生態系から得られる便益を適切に保全・活用しつつ、経済成長と環境を両立することで、人類の福祉を改善しながら、持続可能な成長を推進する経済システム」という提案がだされていますので、日本企業はこれに従ってやっていくのだろうと思います。もうひとつの行動とフォローアップの為の枠組み:持続可能な開発目標(SDGs)ですが、これも現在のミレニアム開発目標(MDGs:Millenium Development Goals)と統合的に策定されることになりました。具体的なテーマや数値目標は盛り込まれませんでした。プロセスは決まったが、具体性はないということです。ただ、主題のエリアと業界横断型課題ということでいろいろあげられていますので、それぞれに目標がでてくるのではないかといわれています。これから先、SDGsの議論に注目していく必要があると思います。

 

(3)Rio+20関連イベント概要:CSF
次に私どもが主に参加したCFS(Corporate Sustainable Forum)についてお話したいと思います。これはグローバルコンパクトが最大の力を結集し最大のサブイベントとして開催されました。Rio+20の事務方の折衝に平行して開催されたものです。企業、投資家が、政府、地方自治体、NGO、国連機関等と会する機会ということで、100カ国以上から2700名を超える参加者がありました。その半分以上が企業からの参加でした。120を超えるセッションが以下のテーマごとに並行で開催されました。「エネルギーと気候」、「水とエコシステム」、「農業と食糧」、「社会開発」、「都市化と都市」、「経済と金融による持続可能な開発」の6つです。さらに行動に向けて約200のコミットメント(公約)がだされました。CSF本会議に先立ってPRME(責任あるマネージメント教育原則)のセッションが行われ、大学関係者が集まって「持続可能な開発に対する教育と責任あるマネージメント教育」についてのセッションが持たれました。

 

(4)CSF成果概要
CFSの成果概要としては、次のようになります。
目的としては、持続可能な開発に携わっている民間セクターと投資家に発表の場を提供するということと、企業の持続可能性をグローバルに支える施策を政府に要請する、提言するということがあげられていました。従って最終的に各国のGCは、6月21日をもって政府に要望書を提出することになりました。ビジネスセクターが政府を突き動かしていくということが目的なのです。要望のポイントは、正しいインセンティブを与えて欲しいということと、適切な環境を与えてほしいということです。

達成を目指した主要な成果としては、

  • 企業の持続可能性は、持続可能な開発を達成する為には不可欠であることを証明する。
  • 原則に基づいた場と変化を起こさせるパートナーシップは重要な課題解決を進展させるということを示す。
  • 人権なき持続可能な開発はあり得ないということに焦点をあてる。
  • 技術的及び社会的革新をリードするショーケースとなる。
  • 各地域におけるビジネス行動にとって、GCローカルネットワーク(GCLN)は強固な場であることを示す。
  • 企業の持続可能性を刺激するには、他のステークホルダーズ(投資家・証券取引所・ビジネススクール・大学・都市)の重大な影響が必要であることを示す。
  • UNGCによって推進されている普遍的な持続可能な原則や成果の報告に対し、コミットしている企業にモチべ-ションを与える。
  • 企業や他のステークホルダーズによる行動やパートナーシップといったものへの多くのコミットメントを結集する。
  • 政府に対し、グリーン経済へ移行すること及びグローバルに責任あるビジネスを支える施策をとることを奨励し促進する。

このようにGCという集まりを通じて民間セクターが声を上げていくということがグローバルな潮流なのだと思います。民間が主要なセクターなのだということです。

単にディスカッションするのではなくコミットメントしていこう、そういう企業をサポートしていこうということも議論されました。

今回は、行動に向けた約200のコミットメントがなされました。次の3つに分けられます

 

●コレクティブアクションコミットメント(協同してするコミットメント)

  • 「水の持続可能性を優先に」CEO Water Mandate署名のCEO45名による特別声明
  • GHG排出計算に関するCaring for Climate署名25社によるコミットメント
  • 銀行、投資ファンド及び保険会社37社による「自然資本宣言」
  • (従来は生態系サービスといわれていた自然資本に関して、正しく測定し尊重していこうという宣言です。)

  • 5つの証券取引所による、長期的で持続可能な投資の推進に対するコミットメント
  • 70の企業、政府及び国際機開により署名されたグリーン産業プラットフォーム
  • UNGC、先進16社からなる集団及び食糧と農業の分野でのステークホールダーによりコミットされた持続可能な農業に対する事例と方針に関するボランタリーなビジネス原

●GCLNのコミットメント

  • 101か所のLNの内、次の10か所のLNがコミットメントしました。
  • ⇒豪州・ブラジル・フランス・インドネシア・インド・イタリア・日本・パキスタン・スペイン・ウルグアイ
  • 日本のGCJNのコミットメントは、長期ビジョン2020についてで、2020年までに加入団体数を1000にしようとか、グローバルなイニシアティブ参加団体の内10%を日本企業が占めるようにしようといった大変チャレンジャブルな内容です。  

●企業のコミットメント

  • グローバルで108社がコミットし、日本企業は次の6社がコミットされました。
  • ⇒日立製作所・三菱化学HD・日産自動車・大阪ガス・損害保険ジャパン・住友化学

     

(5)CSF成果概要:エネルギーと気候について
エネルギーと気候というテーマでも次のようないろいろな議論がなされました。すでに日本では当然といえるものも含まれています。
●産業界へ特に期待するエリアとしては

  • 事業活動におけるエネルギー効率向上とエネルギー効率向上を支える製品の開発
  • 再生可能なエネルギー技術の促進
  • GHG排出削減及び削減に寄与する製品の開発
  • 気候変動にもっとも脆弱なコミュニティや集団に資するソリューションの開発
  • インフラとサービスの開発及び展開への投資

●革新事例としては

  • 技術革新⇒より良い再生可能エネルギーの開発、代替エネルギー源の開発等
  • 運営革新⇒最適化とコスト削減への革新、3Rへの革新、ビジネスモデル革新
  • 変化を促す低炭素ソリューション たとえば音楽のネット配信のような脱物質化を進めていく

●協働事例として

  • 戦略パートナーシップの構築(業界内、業界横断、SCMの一環として)
  • 市民社会やNGOsとのパートナーシップ
  • 官民間での対話や経験シェアに向けた官民連携パートナーシップ(PPPs)

こうしたパートナーシップというのがGCの特長でもあります。

●政府に対する公的政策の推奨=要求項目

  • 安定した炭素価格を策定する為の先進的なメカニズムや方針
  • Rio+20を機に化石燃料向け補助金を止め、クリーンな新エネルギー向け補助金への転換を促進する
  • 運輸/住宅/エネルギー消費といったグリーン重点分野での技術開発・実行・改善・調和をしていく
  • エネルギー効率、再生可能エネルギー、クリーンエネルギーという観点の公共調達における調達基準への組込み促進
  • 長期国家エネルギー計画の策定
  • 都市レベルでの条例の制定
  • 従来にはなかったエネルギー価格制度の実施(例 ピークタイム価格、ピークタイムリベート等)
    持続可能な開発における政府による行動の重要牲の認識
  • 将来設定されるSDGsにおいてエネルギーへのアクセス、効率及び再生可能性を含むこと

こうした要求を各国のGCが政府に要求していこうということが話し合われました。

 

(6)CSF成果概要:水と生態系について
水と生態系というテーマでも以下のように多くのことが議論されました。
水の課題は大変僅々の課題になってきていると思います。自然資本の中でも水の占める割合は非常に大きいという認識です。企業にとって水のリスクも非常に高いということを再度認識すべきであるということです。

 

●企業の水に関する持続可能性(Corporate Water Sustainability))

  • UNGCのCEO Water
  • Mandateは、企業の水資源に関する持続可能性を進展させる為のグローバルな場の提供を行っており、様々な業界や地域から100社近い参画を得ています。しかし日本からは1社も参加していません。我々としては日本企業もこれに署名し、積極的に参加していく必要があると考えています。 GCJNにも水の分科会があるのですがなかなか成立しにいのが現状です。日本は水が豊富ですので問題意識に上りにくいのですが、輸入食糧品はすべてバーチャルウォーターが関係していますので、もう少し深刻な課題として捉えていただきたいと思います。
  • 水に関する持続可能性は生態系と生物多様性に極めて密接に結びついており、多くの企業は生態系と生物多様性に対する直接・間接の影響を調査し始める段階に入ってきています。

 

●革新事例についても話し合われました。水も人権の問題に係わっています。途上国で水の運搬に係わっているのは女性が多いので、水の問題はジェンダーンの問題にも繋がっているのです。
●協働事例では

  • バリューチェーン全体を通じた水と生態系への課題解決の実行
  • 河川流域全体にわたる管理をマルチステークホルダーPJの遂行
  • 水資源に関する国際的なイニシアチブやプログラムの設立

●政府に対する公的政策の推奨

  • より包括的で長期な水資源に関する計画の策定と実行
  • ⇒一番水を使う農業をはじめとする全業界における水に閲する生産性と効率を向上させることへの政策とインセンティブ
    ⇒女性や子ども達を含む人々が水資源と衛生に関するサービスを享受できる為の設備投資と政策促進
    ⇒真水を作るのにはエネルギーがいりますし、エネルギーを作るのにまた水が必要です。エネルギーと水は密接不可分な問題です。
  • 生態系にとっても重要ですので、国家生物多様性行動計画の策定と遂行を。

 

(7)CSF成果概要:農業と食糧について
●政府に対する公的政策の推奨としては

  • 小規模農家を始めとする農家に対する生産性向上への投資
  • 栄養ある食糧に対する品質の向上と栄養へのアクセスの改善
  • 農業の生産性向上と環境保護の両立
  • 貧困農家への技術革新への支援
  • 食糧システムの持続可能性の進展
  • ジェンダーと子どもの権利のイニシアチブへの反映

こうしたことを政府に要望していくこととしています。

 

(8)CSF成果概要:経済と金融による持続可能な開発について
ここは大変活発でした。金融セクターが一番先行しているのではないかと思います。
●革新と協働事例では

  • 責任ある投資=PRI(1000を超える投資械関の参画、総投資資産金額:3兆USD超)
  • ⇒気候変動/資源の欠乏/世界的な人口と政治的な変動/人的資本/国際的に複雑化するサプライチェーンにおける社会的諸課題等に関心のある企業に投資していこうというものです。日本の年金基金はあまり参加していませんが、欧米の年金ファンドはかなり参加していますので、年金の運用に関しては持続可能性を重視して評価するという姿勢です。
  • 持続的な金融ということでは、責任ある貸付、責任ある不動産投資、持続可能な保険、自然資本会計といったことを進めていこうとしています。
  • 今回保険業界が新しいイニシアチブを立ち上げました。持続可能な保険原則:PSI(The Principles for Sustainable Insurance)です。保険を通じて産業界に影響を与えていこうというものです。
  • 持続可能な証券取引
  • ⇒5つの証券取引所と、そこに上場している4600社を超える企業によるコミットメントの実現ということですので、かなり大きな動きになると思われます。     
    ⇒持続可能な証券取引イニシアチブにおいて、企業の透明性と最大のパフォーマンスの為にESG課題に関して証券取引所が、環境・社会・ガバナンスについての情報開示を要求していくということです。統合レポートにも繋がってくる事柄です。南アフリカの証券取引所が最も進んでいるのですが、それに歩調を合わせる形で5つの証券所が取り組んでいます。
    ・企業における取締役会による監督とIRということでは、「役員報酬へのESG側面の組込み」「取締役への新たな課題:企業の持続可能性の採択実行と監督」あるいはIRの会議のときに「ESGに関する投資家へのブリーフィング」という新たな枠組みを設けるべきではないかといった要求がなされています。
  • 統合(持続可能)報告
  • IIRC(International Integratd Reporting Council)のセッションでは、GRIや多数の企業の参加があり、大きな会場が満席の状態で、熱心な議論がかわされました。企業戦略/ガバナンス/経済/社会環境を統合させた報告の提唱がなされました。

●政府に対する要請としては、

  • 証券取引所とその監督者による責任ある投資と企業の持続可能性促進への後押し
  • 投資家によるESG方針と行動の促進
  • 企業統治等の規制を通じた責任ある株式保有という概念の促進
  • 投資業界への持続可能性に関する自覚と能力構築の促進
  • 全ての規模の企業による統合化された企業の持続可能性に関する報告の促進
  • 賢明な規制とインセンティブ構造の採択・実行
  • 国家/ニ国間/多国間金融機関が民間の金融仲介者と持続可能性に関する課題のエンゲージメントを遂行することに対する促進
  • 養育のためのインパクト投資を支援する為の政策やインセンティブの開発
  • 貧困者・女性等の限界を持つ人々の金融サービスヘのアクセス可能性への大幅な促進などが上げられました。

 

(9)CSF成果概要:社会開発について
社会開発といいますのは、「人権と良きガバナンスの尊重」ということです。社会が平等で、きちんと管理され、みんなが平和に暮らしていけるそういう社会を作ろうということです。われわれ企業としては、中核ビジネスを通じてそれを実現しようと考えています。たとえば女性の進出とか、女性の権利を守っていく、平和維持に中核ビジネスとして参画していく、あるいは先住民への配慮、腐敗の防止、などを進めようということが謳われています。ある人は世界の課題は2つだといっています。それは戦争と腐敗です。あらゆる問題の根源はこの2つにあるのだということです。
・社会的投資とフィランソロピーも重要です。また公共政策とアドボカシー(権利擁護)も重要と考えています。
それは次のような事柄です。
⇒女牲に対する暴力への反対の表明
⇒児童労働への認識創造プログラムへの支持
⇒性的搾取と児童誘拐への認識強化と対抗に関する同業他社/サプライヤー/政府/市民社会との協業
⇒先住民の歴史/文化/知識へ認識強化
⇒誠実性に関する盟約への参画
⇒平和構築への貢献

 

(10)CSF成果概要:都市化と都市について
日本はいま大震災のあと復興のステージにあります。どのように新しい都市づくりを進めていくかが重要な課題となっています。グローバル・コンパクトのCSFの中でも都市化についての話し合いがなされました。日本が得意とする分野のように思いますが、残念ながら日本からの参加企業はありませんでした。

 

(11)CSF成果概要:持続可能な開発に対する教育と責任あるマネージメント教育について
ここには大学の代表者が参加されていました。責任あるマネジメント教育が重要で、ビジネス教育の中核にすえなければいけないというようなことが話されました。
・PRME(Principles for Responsible Management Education:責任あるマネージメント教育原則)が重視されています。
アカデミアというのは大変重要です。アカデミアとNGOと企業が集まると非常に深みのある議論ができると思います。

 

(12)Rio+20関連イベント:BASD2012
もう一つの関連イベントについてもご紹介しておきましょう。
Rio+20の前日、6月19日(火)ウインザーバラホテルにおいて、LEAD等特別の貢献をしている企業が招待され事例発表等がなされました。BASD2012(Business Action for Sustainable Development 2012)です。
BASDは、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)、ICC(国際商業会議所)、UNGCにより設立されたビジネスセクターの集まりです。
午前中はセッションがあり、業界毎の対話が行われました。農業・セメント化学・林業・原材料(金属/鉱山)・石油/ガス・電力・中小企業・運輸・消費財(生態系サービス)と、ちょっと不思議な業界区分です。
午後のセッションは持続的開発に関するマルチステークホールダーによるディベートということで次のようなテーマで話し合われました。
「エネルギーへのアクセス」、「企業の持続可能性報告」、「グリーン経済」、「包括的ビジネス」、「ガバナンス」、「持続可能な開発に向けた政策枠組」、「技術」、「都市化」、「水」、「持続可能な消費」、「50+20アジェンダ」、の11テーマです。

 

BASD2012はキーメッセージを発しています。一つはビジネスセクターが重要な役割を担っており、政府は民間セクターと協調協働してやっていく必要があるということ。2つ目はスケールアップすることが重要で、それには国連や政府と強調して一緒にやっていくことが必要ということです。さらに消費パターンを変えない限り、グローバルな課題は解決できないといいました。業界や業界を越えたコレクティブなアクションが重要だということです。特に草の根レベルでの強調が大事だといっています。
業界は競争関係にある企業の集まりですから、競争するのが当然です。しかしベストプラクティスの共有と業界標準化も大事だということです。世界は、いま業界が一致団結して物事を解決しようという方向へ動いています。それと業界を横断してやっていかないとスケールアップしないということも言われています。バリューチェーン、サプライチェーンの全体を通じてのアプローチが必要だとされました。SDGsでは、達成容易な、安易な目標設定でなく高い目標を設けるべきだとの要望がだされました。


自然資本を金銭的な価値に置き換え、それにともなって自然資本会計も促進していこうということもいわれました。また、企業活動で市場以外で影響を与える経済効果を価格に反映するということもいわれています。経済学でいう外部経済の価格への取り込みということだと思います。日本企業でEUのローズ規制に対応したら、その対応に要した費用を価格に反映させるべきだということです。環境に優しく、持続可能性に寄与する商品は、当然それに対応するコストが含まれていますから、それを消費者は容認してもらいたいということです。ソーシャルネットワーク(SNS)についてもいわれています。今回の会議はペーパーレスでした。パッドやハンディな端末を活用し、SNSでさまざまな情報が入手できました。国の政策だけでなく、持続可能な文化部分への展開も重要ということです。そして何よりもサプライチェーンを通じて中小企業にも参加していただくことが大切だとされました。大きな企業のいい意味での影響力の行使です。イノベーションを手伝うとか、雇用創造を手伝うとか、能力開発とかに寄与することが大事だということです。

 

以上が、Rio+20と関連イベントのご報告です。
最後にぜひご一読をお勧めしたいのが、国連環境計画(UNEP)が作成した「Green Economy」という冊子です。この冊子には、グリーンビジネスとは何かという定義も載っていますし、自然資本についてもかなり詳しく説明が載っています。実例もたくさん載っていますので、今、世界でグリーンエコノミーについてどのように考えられているか、がよく分かります。
ぜひご一読ください。こちらからダウンロードできます。
http://www.unep.org/greeneconomy/GreenEconomyReport/tabid/29846/language/en-US/Default.aspx

 

ご清聴ありがとうございました。