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CDP(カーボンディスクロージャープロジェクト)の最新動向

CDP(カーボンディスクロージャープロジェクト)の最新動向

 

■講師

CDP事務局ディレクター
森澤みちよ 氏

 

(1)CDPについて
 CDP(カーボンディスクロージャープロジェクト)は、事業・政策・投資判断において必要な情報を提供することで気候変動に関する問題解決を促進するため、2000年に発足したNGOです。英国、米国、フランス、スウェーデン、オランダ、オーストラリア各政府からの金銭支援を受け、多くの政治家からも賛同をいただいている組織です。国連気候変動枠組条約のクリスティーナ・フィゲレス事務局長からも、「CDPは将来のビジネスを導くものである」との言葉をいただいています。本年は655の署名機関投資家から賛同をいただきました。その総運用資産額は、78兆ドルにのぼります。2011年にCDPを介して回答していただいた企業の回答率は、グローバル500では81%でした。ジャパン500の回答率は45%でした。CDPの本拠地はロンドンで、ニューヨーク、ベルリン、ブリュッセル、北京、東京などに拠点を持つほか、商工会議所などの団体をパートナーとして活動しています。

 

(2)CDPの質問書について
 現在4種類の質問書を企業に送っています。投資家質問書、ウォーター質問書、サプライチェーンプロジェクト、パブリック・プロキュアメントです。2003年に第1回の投資家質問書を送付しました。各投資家がばらばらに質問書を送るのではなく、まとまって送ろうということではじめたものです。送付先は世界の時価総額の大きい企業上位500社に送ることにしました。これがグローバル500です。3年間続けましたが、500社ではまだ数が少ないということで2006年に世界的な拡大をはかりました。アメリカでは、S&P500(平均株価指数を構成する大型株500社)の対象企業500社にしました。日本ではS&P150の対象となっている150社に拡大しました。これを2006から2008年まで続けました。2009年からは日本も500社にしました。グローバル500の選定は時価総額ですので、企業の株価の変動により対象となる企業も変動しますが、日本企業は2003年の開始以来約1割が対象となっています。グローバル500の回答率は、2006年72%、2008年77%、2009年からは81%で推移しています。国別では、ヨーロッパの企業の回答率はほぼ100%です。日本は昨年グローバル500に40社入っていましたが、内33社が回答し回答率は83%です。2003年当時グローバル500の8割は米国企業でしが、昨年は144社です。入れ替わりにアジア、BRICsの企業がグローバル500社に登場してきています。グローバル500対象のアジア企業の回答率は41%、BRICsでみた場合企業は43%です。

 

 回答いただいた企業に対してスコアリングを行っています。優秀な企業をCDLI(Carbon Disclosure Leadership Index)企業に選定しています。CDLI企業の割合が多いのは、ドイツ、スイス、英国、アメリカなどです。パフォーマンス評価としてCPLI(Carbon Performance Leadership Index)企業も選定しています。オーストラリア、ドイツ、イタリア、スイス、英国などで多いです。選定に入ったオーストラリアの企業は全て金融機関で、金融機関の環境意識が非常に高いです。
 日本はどうかといいますと、150社のときの回答率75%くらいでした。500社になってからの回答率は40%台です。また2010年と2011年のスコアを比較しますと回答数はほぼ同じですが点数が良くなっています。80点以上の企業が2010年は5%だったのが2011年には17%になっています。しかし、グローバル500の企業は80点以上が34%を占めており、日本企業の開示に対して更なる働きかけが必要な状況です。

 

 2012年のCDP質問書の送付先ですがFTSE Japan Index対象企業467社を含めた500社です。この中にはグローバル500対象企業も含まれています。評価方法としては、ディスクロージャー評価のCDLI、パフフォーマンス評価のCPLI、CDPカーボン・アクション、FTSE Japan Index及び各機関投資家の独自評価となります。ディスクロージャースコアは、情報開示度合いを評価する指標で、具体的な回答をしているかが評価の対象です。パフォーマンススコアは気候変動適応策、緩和策に対する評価です。もともとCDPは各企業にCO2排出量削減を求めようとしたのですが、その為にはまず情報開示が重要で、質問項目への開示を求めました。これに約10年かかったわけです。いまようやく削減を求められる段階になりました。

 

(3)CDPカーボン・アクション2012
 昨年から開始したカーボン・アクションについてご説明します。投資家からの要請により企業に投資収益率の高い温室効果ガス排出削減活動の促進を求めるプログラムです。主な活動としては、投資家の要請により、自社の排出量の多い企業や、サプライチェーンにおける排出量が多い企業に対し、排出削減活動を求めるレターを送付します。企業はCDP2012投資家質問書で排出削減活動について情報を開示していただきます。回答をもとに分析を行い、一般に公表するサマリーレポートとカーボンアクションへの署名投資家のみに提供される詳細なレポートを作成します。投資家が個別に、または国連責任投資原則(UNPRI)などの活動を通じて企業にエンゲージメントを実施していただきます。

 

 カーボン・アクションに賛同いただく投資家数は昨年の35から92に増えました。対象企業もグローバル500からFTSE All-World800(先進国800社)と拡大になりました。
自社の排出量が多いセクター(対象日本企業は23社)に、排出量、削減目標、排出削減活動への投資について質問しています。サプライチェーンでの排出量が多いセクター(対象日本企業22社)では、サプライチェーンの排出量について管理活動やベストプラクティスについて質問しています。
 自社の排出量の多いセクターに対しては、排出履歴や排出原単位、及び投資効率の高い排出削減活動への投資を行い将来的な排出削減の達成につなげているか、そして主要な排出源をカバーした高い排出削減目標を設定・公表しているか、また目標達成のための活動を継続しているかをチェックしています。
 サプライチェーンの排出量が多いセクターでは、サプライチェーンの排出量管理活動を 実施しているかを見ます。

 

(4)FTSE CDP カーボン戦略インデックスシリーズ
 FTSE CDP カーボン戦略インデックスシリーズが3年前から始まっています。FTSEのインデックスの構築手順としては、(1)市場、ベース・インデックスの特定、これはFTSE Japan を採用しています。(2)カーボンに関する企業データの収集、これはCDPのデータベースを使用します。(3)カーボンリスクの査定、これはENDS Carbon社が実施します。(4)査定結果にあわせベース・インデックスのウエイトを調整します。
 カーボンリスク・スコアの算出方法は業種によって異なります。石油・ガス精製、化学など高リスクの業種と、そうでない低リスクの業種に分け、それぞれ異なったリスクモデルを適用し、スコアを算出します。カーボン管理スコア・カードでは、マネジメント、情報開示度、管理体制、排ガス性能、戦略を聞いています。

 

高リスク企業に適応されるカーボンリスクモデルについてご紹介しますと、建設資材・設備、紙、化学、鉄鋼、アルミ、航空、電力等にはコストモデルが適用されます。石油・ガス、石炭等には、リザーブモデルが、自動車には商品効率性モデルが適用されます。

 FTSE CDP カーボン戦略インデックスシリーズは、将来的なカーボンリスク(コスト)への露出度にあわせ、投資ポートフォリオ(インデックス)の中での投資比重を変更されるものです。カーボンリスクの査定方法に関しては、ウェブ上ですべて公開されており、高い透明性を持っています。この戦略は、アクティブ戦略ではなく、将来的なカーボンリスクを反映させた長期パッシブ運用ツールです。アクティブ投資というのは直接株を買ったりすることです。パッシブ投資というのは、インデックスを買うということで、そこに含まれる銘柄などは、投資会社に任せるという形になります。英国では、英国最大の企業年金基金でありますブリティッシュ・テレコムが国内のパッシブ運用にFTSE CDPインデックスを採用しています。このように投資家の運用担当者にCDPのデータを使っていただくことが重要です。

 

 日本では、公的年金である全国市町村職員共済組合連合会が今年、国内株式のパッシブ運用に係る運用受託機関の条件に、国連「責任投資原則(PRI)」に署名していることを掲げました。こうした動きがもっと広がっていくことを願っています。

 投資家はCDPアナリティック・ツールを活用していただけます。1,000,000以上のCDPデータが、6週間ごとにBloomberg社(経済・金融情報の配信を手がけるアメリカ合衆国の大手総合情報サービス会社)を経由してダウンロードされています。投資家のCDP回答の活用としては、ESG(環境・社会・ガバナンス)情報のE(環境)データの気候変動情報データとしてこれを使っていただいています。アセットクラスが、上場株式なのか、資産なのか、インフラなのかといったことでも見方は変わってきます。その企業のマネジメントはいいか、環境規制にあっているか、将来的に伸びるか、リスクはないか、ガバナンスは大丈夫かといった見方です。これは決して新しい投資手法ではなく、昔からアナリストがやっていたことです。それが一時、短期の財務データで判断するようになりましたが、欧米の投資家はESGを含めて企業評価するようになってきています。気候変動に対応しているかどうかで、その企業の将来は大きく変わってくるということなのです。

 

(5)CDPウォーター質問書
 CDPウォーター質問書についてご説明いたします。2012年は2月1日に質問書を送付させていただきました。これで3回目になります。水を企業がどのように管理しているかは、世界的には大変重要になってきています。水が足りない地域で事業をするには、地域と連携し同意を得ないとビジネスはできません。日本は水に対する規制が厳しくないので、あまり問題になっていませんが、やはり水の管理について問われる時代になってきています。日本はエネルギーが足りないので、省エネ政策が重視されてきました。しかし海外では、エネルギーについては、価格には関心があっても日本ほどではなかったのです。水については日本の問題意識は低いのですが、海外では非常に関心が高いです。どうしてカーボン・ディスクロージャー・プロジェクトなのに水なのかと思われるかもしれません。CDPの仕組みを使って水に関する質問書を企業に送ることになりました。投資家が賛同して企業に質問書を送付する仕組みです。対象はグローバル500の企業で、その中で水を多く使わない金融機関を除く302社に送りました。翌年から対象企業を拡大しましたが、これは時価総額ではなく地域での拡大となりました。オーストラリア、南アフリカ、アメリカで対象企業を拡大いたしました。2012年は、オーストラリア55社、南アフリカ55社、S&P500の300社など約700社に送付しました。日本企業はグローバル500対象企業の27社です。グローバル500企業の回答の国別比較をみますと、日本企業の問題意識が低いことが分かります。

 

項目別に回答を見ますと
水に関するポリシー、戦略、計画を策定している、93%
水ポリシー等への責任が、取締役員会または同様のシニアレベル委員会にある、57%
水と関連してパフォーマンス目標を設定している、 57%
水の使用総量を開示している、 95%
となっています。

カーボンの場合は、責任が取締役員会にあるとする回答は95%にのぼります。やはり水に関してはまだまだという感じです。

 

 質問項目は、1.水管理とガバナンス 2.リスクと機会 3.水利用データ の3つに分かれています。
 まず「水管理とガバナンス」ですが、これは企業が水関連問題に取り組んでいるかどうかを見るのがその意図です。誰が責任を負っているか、水利用量削減、利用効率化などの目標設定を行っているか、を問うています。ステークホルダーとの協働ということも重要です。
 「リスクと機会」は、企業の自社とサプライチェーンの水リスクとリスク緩和への取り組みを評価することを目的としています。水ストレスの特定方法や水ストレスの影響を受ける事業所のある地域と、そうした地域にある事業所の割合などを質問しています。
 「水利用データ」では、取水量、排水に対する規制の順守状況、水利用の原単位について評価するのが狙いです。この分野に関しては、まだ世界的な統一プロトコルはありません。カーボンに対しても、10年前には統一されたプロトコルはありませんでした。水に関してもこれから作成されると思います。

 

(6)CDPサプライチェーンプロジェクト
 サプライチェーンプロジェクトは、顧客企業から開示要請のあったサプライチェーン企業に質問書を送付しています。パブリック・プロキュアメントも同様です。こちらは政府から開示要請のあった企業に送付しています。
 なぜサプライチェーンが重要なのかといいますと、「消費財メーカーやハイテク企業、その他製造業に対し、企業のカーボンフットプリントの40~60%が原材料や輸送、製造過程におけるエネルギー消費のパッケージといった上流のサプライチェーンによるものであり、小売業であれば、その割合は80%になる」とマッキンゼー季刊誌は2008年に述べています。

  CDPサプライチェーン質問書は、ウォルマート、花王など55社から、パブリック・プロキュアメントは英国政府から、サプライヤーに送付しました。2011年は4500社がサプライヤーとして対象で、全体の回答率は44%でした。サプライヤーとしての日本企業の回答率は60%でした。メンバー55社から送るのですが、同じような業界ですと、サプライヤーも複数の企業から届くことになります。複数社から要請を受けたサプライヤーの回答率は80%にのぼっています。継続することが重要で、毎年送ってくるということがわかると、今度は回答しようということになると思います。
 賛同いただいたメンバー企業には、対象サプライヤーの回答分析レポートを個別に作成しています。対象企業全体のサマリーレポートは一般に公表しています。
 質問書のロードマップはステージ1からステージ3まであり、それぞれの段階でサプライヤーにどんなことを望むかが示されていますが、これはCDPが作成したものではなく、メンバー企業が会議して決めたものです。
 質問書のモジュールは、マネジメント(戦略、目標、排出削減活動)、リスク&機会(規制リスク、物的リスク、その他)、排出&エネルギー報告(エネルギー利用、温室効果ガス排出量)、サプライヤーモジュール(取引先に要求している排出量の配分)となっています。
 回答率ではヨーロッパが一番高く、次いでアジアが高いです。投資家からの質問にはアジアの回答は低かったのですが、投資家には回答していなくても、取引先には回答しています。ペプシコは次のように言っています。「大企業はサプライヤーに対し、気候変動を重要なファクターとして事業を運営するよう仕向けることができ、それは大企業としてすべきでことである。」

 

 このようにして年間30を越えるCDPレポートが作成されています。国別、地域別、セクター別はもちろん、水レポート、サプライチェーンレポート、パブリックプロキュアメントサマリーレポートなどです。これらは機関投資家や企業などさまざまなケーススタディで活用されています。ウェブ上に公開されていますので、誰でも見ることができます。

 

(7)CDP Cities
 次にCDPのシティーズについてご紹介いたします。これは、自治体のためのCDPのグローバル報告の枠組みです。パートナーとしてC40、Jones Lang、Autodeskが参加しています。C40は気候変動対策に取り組む40の大都市と18の提携都市のネットワークです。CDPを通して質問書を自治体に送るというもので、2011年に開始しました。2011年の回答率は72%でした。C40以外でも自主的に回答いただいた自治体も6つありました。計48の自治体から回答があり、GHG(温室効果ガス)削減目標設定はあるかという質問には、67%がYESと答えています。2012年はC40以外の自治体にも拡大して送っています。日本では、C40の東京、横浜以外に、大阪、札幌、福岡、名古屋に送りました。残念ながら大阪からは回答がいただけませんでした。
 質問の内容は、ガバナンス、リスク(気候変動の物理的影響や規制リスク・社会リスク・その他リスク)、機会(気候変動による経済的な機会やその他の機会)、排出量(自治体管理分 スコープ1・2・3 地域全体)、戦略(排出削減自治体管理分、排出削減地域全体、計画、適応)などとなっています。

 

(8)CDSB(気候変動情報開示審議会)について
 今日はもうひとつ、CDSB(気候変動情報開示審議会)をご紹介させていただきます。
 CDSBは理事会の下に、事務局とテクニカルワーキンググループ、アドバイザリーグループがあります。2007年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で立ち上げられました。理事会のメンバーにCDPも入っております。事務局もCDPが担当しています。2010年に気候変動報告枠組み(CCRF)バージョン1.0を公開しました。これは、気候変動情報を財務情報と合わせて情報開示する統合レポートの枠組みを決めたものです。CDSBのテクニカルグループには、4大会計事務所と各国の会計事務所協会、学者などが入っており、報告に何を入れるべきかを議論し枠組みを決めました。昨年、日本でこれを使って報告が作成できるかどうか、日本企業に試行していただきました。CDP報告の作成経験のある企業は、ほぼできることがわかりました。ただ将来の展望については、ここは社長が明らかにしないといけませんので、難しいところです。もうひとつ社内で財務データと気候変動のデータのやり取りが難しいという声も上がりました。

 

 企業の気候変動報告の現状を見ますと、30カ国で142の、国が定めた報告の基準や法律があり、排出量報告に関しての算定方法も、主なもので30あります。プロトコル、コード、ガイダンス、プラクティスなど、調べきれないほど膨大にあるということも明らかになりました。こうした現状において気候変動と関連する報告とは、どうあるべきでしょうか。CDSBは次の項目を挙げています。
・戦略的分析、リスクとガバナンス
 戦略的目標への気候変動による長期的&短期的影響
 気候変動関連リスク
 機会
 リスク、機会、そして戦略への影響に対応するためのマネジメント
 未来の展望
 ガバナンス
・GHG排出
 総排出の絶対量
 GHG排出量の変化
 内容に関する情報開示
・排出取引制度で認められた排出権やアローアンス

 

 現在は、アプローチもばらばらで、不完全で短期的な視点からおこなわれていることが、CDSBが関与することで、標準にあったマテリアルや資料の提供、技術調査、コラボレーションにより、結果として一貫性が生まれ、良い事例の統合が行われ、透明性、信頼性、確実性、効果的で安定的なマーケットに対し、より良い意思決定が行われるようになる。これがCDSBの目標であり成功へのビジョンです。

 

(9)CDP気候変動情報の利用について
 CDP気候変動情報の利用についてですが、2009年にCDP2.0データマネジメント基盤が作成され、情報がデータベース化されたことによって、オンラインで機関投資家や各国政府がデータを簡単に入手し、分析することが可能になりました。また、回答企業がカーボンマネジメント、セクター分析、戦略上の意思決定に活用できます。サプライチェーンメンバー企業もサプライチェーンを含めカーボンマネジメント、意思決定に活用できます。2010年秋からは、CDPアナリティクス=回答分析ツールがご利用いただけるようになり、さらに高度な分析活用が可能となりました。

 

 CDP回答企業の気候変動マネジメントをサポートする目的で、CDPレポーターサービスを行っています。先ほどのCDPアナリティクスのほかに、レスポンスチェックや排出量管理ツール、CDPインサイトがあります。また、排出量報告ツールは、エネルギー使用量や燃料使用量などをGHG排出量に換算することができます。

 

 このようにCDP2.0では、インプットは手入力ですが、アウトプットは自動化していろいろな形で利用していただくことができました。現在CDPでは、気候変動情報タクソノミーを開発中です。これにより財務情報との整合性、システム間の相互運用の可能性が高まります。開発はCDP、CDSB、富士通、及びXBRLで実施しています。
 サステナビリティ報告においてXBRL(eXtensible Business Reporting Language=財務情報を記述するためのXMLベース言語)の使用はまだ少数です。しかしXBRLは財務報告では使われていて、事実上の電子報告のスタンダードとなっています。気候変動報告枠組み(CCRF)をXBRLタクソノミー化することによって、情報使用者の気候変動情報へのアクセスを向上させ、情報使用者の範囲を広くすることができます。
 目的としては、

  • 報告と情報交換にかかる費用を削減できる
  • ITシステム間の相互運用性を向上させる
  • GHGアカウンティングと管理ソフトウエア導入を促進する
  • GHGアカウンティングと財務アカウンティングを整合する
  • 標準言語とデータの使用を促進する
  • 報告された情報の正確性を向上させる
  • 報告過程で発生する人的ミスを削減し、管理を簡便化する
  • などがあげられています。

 

 現在は、証券取引所、アナリスト、機関投資家、政府、学者、NGOなど、気候変動データを入手し活用している各機関は、CDP回答を含めデータをさまざまなフォーマットで受け取っています。また企業もいろいろな報告を異なるフォーマットで作成しています。XBRLタクソノミーによって共通のスタンダードができれば、利用する側も開示する企業側も相当なコスト削減を行うことができると期待されています。こうした組織横断的な作業は、CDPのようなNGOだから推進できるのだと思います。

 

 最後に、潘基文国連事務総長の、CDPについての次の言葉をご紹介して講演を終わらせていただきます。
 「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトの詳細なレポートは、世界中の企業がそれぞれの温室効果ガス排出を測定、管理、開示し、最終的に削減を促進することに貢献している。このような企業の気候変動に関するデータを収集し、市場に提供している機関はCDP以外には存在しない。」

 

どうもご清聴ありがとうございました。

 

●CDPホームページ
http://www.cdproject.net/  (英語)
●日本語ページ
https://www.cdproject.net/EN-US/WHATWEDO/Pages/cdp-japan-background.aspx