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環境・CSRをめぐる最新状況と今後の環境ビジネス

環境・CSRをめぐる最新状況と今後の環境ビジネス

 

■講師

KPMGあずさサステナビリティ株式会社 
代表取締役社長  魚住隆太氏

 

はじめに
 ビジネスをうまくやっていくには世の中の大きな流れに乗っていくことが大事だと思います。しかしその大きな流れが果たして科学的真実に基づくものか、正しいことなのかと考えればまた別の見方が生まれます。今からお話しすることは、そうした私の個人的見解も含まれています。今日のテーマは、環境・CSRをめぐる最新状況と今後の環境ビジネス、ということですが、結論からいえば環境ビジネスは、もう普通のビジネスとあまり変わらないのではないかと思っています。

 

1.地球温暖化と環境ビジネス

 昨年開催されたCOP17ではポスト京都議定書の枠組みを採択することはできませんでした。合意の内容は、2013年以降は当面京都議定書を延長するということでしたが、日本はこれに参加しません。また、京都議定書の延長期間や削減目標を盛り込んだ改訂議定書は、2012年カタールのドーハで開かれるCOP18で採択する、途上国の温暖化対策支援のための「緑の気候基金」の運用を開始する、などが決まりました。

 ここからはまったくの私見ですが、気候変動枠組条約というのは、化石燃料を使うと地球温暖化が進行するということを理由に、先進国が途上国の発展を抑えるための場ではなかったかと思うのです。それが、逆に途上国が先進国から対策支援という名目でお金を手に入れる場に変わってしまったというのが実情ではないでしょうか。

  カナダもCOP17後、京都議定書を離脱するということを表明しました。カナダはオイルサンドを産出していますが、オイルサンドは採掘・精製の際に、他の資源に比べCO2の排出量が多いとされていて、このためカナダでの温室効果ガスの排出量が増えている可能性があります。ケント環境相によると、京都議定書にとどまり続けると、140億カナダドル(1兆円強)の支出が発生するが、脱退すれば避けられるということだそうです。つまりはお金で動いているということです。

 

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書2007によりますと、温暖化の原因は人為的要因による温室効果ガスの排出である、温暖化によって不利益を被る、温室効果ガスの排出は削減できる、となっています。そのために人類社会は温暖化対策=低炭素社会に舵を切るということが科学的な論争とは別に、政治的に明確に決定されたわけです。
 元世界銀行のチーフエコノミストである英国のニコラス・スターン卿が行った地球温暖化が経済に与えるレポート、スターン・レビュー・レポートによれば、

  • 温暖化は予想より早く進行している。
  • 気候変動により年間に世界のGDPの5~20%の損失が発生する。
  • 対策に必要な年間コストは世界のGDPの1%に過ぎない。
  • 対策には税、排出権取引、規制が不可欠。 

とされています。

 

 これに対してチェコの大統領であり経済学者でもあるヴァーツラフ・クラウスは、「環境主義は本当に正しいか?チェコ大統領が温暖化論争に警告する」という日経BP社から出版された著書の中で反論しています。スターン・レビューにおける現在価値への割引の方法を批判し、地球温暖化を緩和するためのコストを三分の一に過小評価していると述べています。また環境主義が共産主義と同じように正義を振りかざして世界をコントロールしようとしていることに反対しています。

 

  IPCCの第3次報告書に掲載されたホッケー曲線というのがあります。地球の気温は1900年ごろから急に上昇してきたというものですが、これは第4次報告書では掲載されていません。同じIPCCの第2次報告書の「気象変動1995」に掲載された過去1000年の地球温度の変化グラフでは、1200年ごろ中世の温暖期があり1600年ごろに気温の低い小氷河期があり1900年ごろから上昇しています。これは樹木の年輪や氷床コアなどの調査から導き出されたもので、私はこちらが正しいのではないかと思います。ホッケー曲線はこれとあっていないと批判され、第4次報告書では姿を消しました。

 

 2009年11月、英国イーストアングリア大学気候研究所のサーバーからIPCCの中心となっている人々のメール1073通と書類3485点がインターネット上に流失しました。いわゆるクライメートゲート事件です。そこで明らかになったのは、

  • 違う見解の論文の原稿審査を妨害し、学術誌編集長の追放を画策。
  • 情報公開法により不正行為がバレそうになった時、メールの消去を話し合い。
  • 「懐疑派に渡すくらいなら消去する」と書いた気温データは現在も紛失中。

ということでした。

  またプログラムに気温データの改ざんを示唆する注釈があり、20世紀の気温データに減算や加算を行っている部分が明らかになっています。

 

 アラスカ大学でオーロラ研究の世界的権威といわれる赤祖父俊一著「正しく知る地球温暖化」によれば、

  • 温暖化は1800年ごろから始まっている
  • 現在は1400年ごろから1800年ごろまで続いた小氷河期の回復期である可能性が高い。
  • 炭酸ガスを出さない原子力発電推進のためには温暖化の炭酸ガス犯人説は好都合だった。
  • 炭酸ガスのみを犯人と決め付けず地球温暖化についての科学的な議論を続けるべきである。
  • 炭酸ガス排出規制などに血道を上げて日本の国力を落としてはならない。世界各国のしたたかな対応(本音=経済発展と建前=環境保護)の上手な使い分けを学ぶべきである。

などと書かれています。

 

  H.スペンスマルクとN.コールダーが書いた「不機嫌な太陽」によれば、

  • 過去5億年の間には、温度と炭酸ガス濃度との間に相関関係は存在しない。
  • 過去100万年の間には、温度と炭酸ガス濃度との間に相関関係は存在した。ただし、炭酸ガスの変化が、温度変化の後を追っている。

と述べています。

  また宇宙線と気温の関係に注目し、

  • 過去数千年の間のリズミカルな気候変動は、宇宙線により放射性炭素や他の放射性核種が生成される量の変動と一致している。
  • 過去100年間の温暖化率の変化も、宇宙線強度の変動と一致している。

と述べています。

 

 先日(4月20日)の朝日新聞は、太陽の周期的な活動に異変が起き、「冬眠」に入って地球に低温期が到来する可能性があることがわかり、国立天文台や理化学研究所などが19日発表したと報じています。

 

 地球温暖化懐疑論の主張は、

  • 地球は温暖化していない。
  • 温暖化していても人為的要因とは限らない(宇宙線、地磁気の影響、黒点周期、その他の周期的な影響が大きい)。
  • 将来予測に科学的根拠はない。
  • 仮に将来温暖化しても、マイナス影響ばかりではない。

というようにまとめることができます。

  しかし温暖化については、科学的には未決着ですが、政治的にはすでに決着がついており、ビジネス的には地球温暖化論にしたがい産業構造転換に向けての対応が必要といえます。

 

  「不都合な真実」で環境保護を訴え、ノーベル平和賞を受賞したゴア元米国副大統領が、2004年に投資会社を設立し、2005年米国がバイオ燃料の普及と原発の新規建設推進をうたった「包括エネルギー法案」を成立させる前に原発メーカーGEに投資。2008年に全株を売却して利益を得ていたことが明らかになりました。このことは2008年8月の週刊朝日でも「ゴア元米副大統領の"原発利権"」として大きく取り上げられました。

 

 EUの気候変動対策を見ていますと、炭素規制を強化すると同時に助成金などで技術開発支援を行い、イノベーションを進めて競争力の向上を図っています。また、EUで先行した規制を世界へと広げて、算定基準やその検証基準、その開示基準などもEUがリードするわけです。なぜEUが低炭素社会を急ぐのかという理由ですが、幾つか考えられます。これも私の私見ですが、気候変動対策はもちろんですが、原油価格の高止まりがあり、エネルギー安全保障上からもロシアからのエネルギー自立が必要です。またEUの世界での経済ポジションの向上と雇用の促進、技術優位の確保・維持などの狙いがあると思います。

 

 これからの世界がどうなるかを考えますと、欧米は没落傾向にあります。といっていきなり世界政府のようなものをつくることはできないので、温暖化対策での途上国支援のための「緑の気候基金」ということで、国家間の金融取引に微小な比率の課税を行い、集まったお金を新興国・途上国に配分する仕組みを作ろうとしています。配分するとなるとそこに権限=力が生まれます。今まで日本はお金を拠出するけど、配分にはなかなかうまく関わっていけてない。もっと途上国を味方につけて、正論を主張して、配分にも関わって欲しいと思います。

 

 日本のCO2の25%削減という目標はもう一人歩きしています。そのための主要な対策として二国間クレジット制度が考えられています。もともと15%削減くらいは産業界もなんとかできると考えていたのですが、25%となるとさらにもう10%の削減が必要になります。二国間クレジット制度は、二国間の合意の下、途上国に対して日本の得意な省エネ製品を輸出し、日本の省エネ製品を買わなかったときに発生したであろうCO2量との差異量を排出削減量としてクレジット化して、例えば、現地企業(輸出先企業)と日本企業が折半で分配します。仮に、日本企業はキャップアンドトレード制度のように日本企業のCO2排出量にキャップ(上限)を掛けられていない場合、これを政府に買い取ってもらいます。また輸出先企業に分配された残り半分も、二国間でのみ有効であるため結局、日本政府が購入することになるであろう、こういう仕組みです。日本の省エネ輸出産業を支援し、同時に25%のCO2削減も達成しようという構想です。

  もう一つの動きとしては、国内クレジット制度とJ-VER制度(オフセット・クレジット制度)という二つの温暖化ガス排出権取引制度が、統合の方向で進んでいます。経済産業省と環境省が同じような制度を作っていたわけです。

 固定価格買取制度も7月からスタートします。太陽光発電は42円/kWhに決まりました。ビジネス的には非常に有利ですが、個人的には少し高く買い取りすぎと思っています。

 環境省の「環境報告ガイドライン2012年版」についても決まりました。これは明日公表されます。

 

 気候変動対策というのは、低炭素社会へのエネルギー構造の転換というように考えればいいのではないかと思います。そこには大きなビジネスチャンスがありますが、対応を誤るとビジネスリスクになるということです。かつて日本は1960年前後に、輸出競争力を強化するために石炭産業を廃止させ石油産業に転換を図りました。同じように、いま世界は、化石燃料を40~50年かけて減らして、低炭素社会に産業構造を転換していこうとしているわけです。

 

2.原発とエネルギー政策

 原子力発電の利点としてコストが安いということが挙げられてきました。2010年に資源エネルギー庁が行った試算では、原子力は5~6円/kWh、火力7~8円、風力10~14円、太陽光49円などとなっていました。これに対して立命館大学の大島教授が行った研究によれば、1970年から2007年の平均値で、原子力10.68円、火力9.90円、水力7.26円などとなることが明らかにされました。特に原子力発電で余った夜間の電力を使って揚水し発電する原子力+揚水での発電では、12.23円/kWhとなり、決して原子力発電は安くないということが明らかになりました。これは3.11の事故前にすでに発表されています。大島教授の資料によれば、電源三法の交付金の約7割が原子力向けとなっています。「政・官・学・業・マスコミ」の完全な癒着構造がそこにあり、国民は原子力については、いいように欺かれてきたわけです。原発情報については、ウェブの「阿修羅」に、玉石混交ですが真実を求めていろいろなことが載っています。

http://www.asyura2.com/

 

 原発は廃炉コストを考えると採算は合わないと思います。放射性廃棄物の処理・管理コストをどこまで考えているか疑問ですが、フィンランドでは10万年後を考えて地中深くの岩盤内に埋め込んでしまう計画が立てられています。原発は後の世代にツケを回しすぎだと思っています。

 電力はもう十分足りています。夜間の火力発電を利用して揚水発電する手もありますし、企業の自家発電もたくさんあります。また、電力会社間の融通も相当量できます。原発を即廃止しても困らないと思っています。

 長期的には新エネルギーの拡大が必要です。原子力(ウラン)にせよ石油にせよ、それらは有限です。いずれ枯渇します。新エネルギーは世界中どの国でも無限に(枯渇せずに)手に入ります。そうした持続可能性の点で優れています。CO2の排出量は実質ゼロです。資源のない国でもエネルギー自給率を高めることができます。燃料コストは長期的に上昇していきますが、新エネルギーは技術進歩でコストが低下していきます。原子力は悪用される可能性がありますが、新エネルギーに悪用の危険性は低いです。新エネルギーは大型にせず、小型・分散でいくべきだと考えています。

 

  いま、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会で2030年に向けたエネルギー基本計画の作成を行っています。この委員に枝廣淳子(ジャパン・フォー・サステナビリティ代表 幸せ経済社会研究所所長)さんという方がおられて、きわめてまっとうな意見を述べておられます。電源構成を考えるのには、まず「どれだけの電力やエネルギーが必要か?」を考える必要がある、とか、エネルギー需要を見積もる根拠を「GDP」でなく「一人当たりGDP」にすべきである、とか、これからの日本は人口が減少していくので、30年後の経済規模は縮小していくという現実を直視した議論が必要だ、などです。こういう視点から考えると、将来的には多くの電力はいらないわけです。

 

3.GRIガイドライン改訂状況とIIRCの動向

 現在のサステナビリティ・レポーティング・ガイドラインは2006年に公表されました。通称G3ガイドラインといっています。いま次のG4ガイドラインが2013年5月公表を目途に改訂作業が行われています。G4ガイドラインの主な目的として2つのことが挙げられています。(1)サステナビリティ報告実務の調和 (2)統合報告を行う企業のためのガイドラインの2つです。

  注目を集めているのが、IIRC(国際統合報告委員会)が開発中のフレームワークに基づいて、企業が統合報告を行うための実務ガイドラインの提供です。IIRCというのは英国のチャールズ皇太子が立ち上げたプロジェクトで、企業の財務情報に非財務情報(環境的側面、社会的側面、ガバナンス等)を統合して報告するために、明確性・正確性・一貫性のある様式に基づく国際報告フレームワークの創出を目的にしています。ただ、アニュアルレポートに非財務情報を単に記載するだけでなく、それぞれの有機的なつながりが明らかとなるようにどう載せるかということで、これはあくまで投資家向けの報告です。日本でも一部の先進企業が取り組み始めています。統合報告があってもこれはあくまで投資家向けですから、CSR報告書や環境情報の詳細報告は必要だと考えられ、統合報告を行っても、さらに詳細なCSR報告書が作成(ウェブであっても)されるだろうと思います。

 

4.ISO26000(SR)、ISO14051(MFCA)、ISO14045(EE) について

 ISO26000は、CSR経営を実践するときの参考書のようなものです。実践した後、開示する時のガイドラインがGRIガイドラインです。GRIガイドラインには経済的側面はありますが、決算内容等の財務報告が含まれていませんので、財務情報と非財務情報を統合して報告する動き、統合報告の開発が進んでいるのは前述の通りです。

 

 マテリアルフローコスト会計も昨年9月にガイダンス規格のISO14051として発行しました。制度としての原価計算ではマテリアルコスト(材料費)は、仕損じ・不良品の分まで良品が負担していました。マテリアルフローコスト会計では、仕損じ・不良品も良品と同様の重量割合でマテリアルコストを負担します。この結果、マテリアルフローに関する金額的な透明性が増し、結果として仕損じ・不良品等のロスの削減を可能にします。これまでの環境会計と異なるのは、単に廃棄、リサイクルのコストだけでなく、マテリアルコスト、エネルギーコスト(電力費、燃料費)、システムコスト(労務費、設備償却費、間接労務費など)なども、すべて仕損じ・不良品にもコスト負担することにより、仕損じ・不良品の原価(マテリアル・ロス・コスト)が非常に大きな金額になっていることが明らかになる点です。

 

  「環境効率」は、2012年4月のFDIS(Final Draft International Standards/最終国際規格案)化投票で、ISO化が決定しました。投票総数42票中、反対したのはフランス、アメリカ、インドの3カ国だけです。決定から2ヶ月ほどで公表となります。「環境効率」は、ガイダンス規格であって認証規格ではありません。ISO14045となります。

環境効率の算式は
環境効率の算式

であらわされます。

 またある基準年の環境効率と対象年の環境効率を比較することで、どれだけ環境効率が改善されたかが算出できます。この改善比率が「ファクターX」といわれるもので、環境効率の改善度をあらわしています。

 

 環境省の「環境報告ガイドライン」は、これまで2007年版でしたが2012年版が明日公表されます。主なポイントは、

  • 環境配慮は「経営」の一環であることを明記。
  • 対象範囲と対象期間を明確化し、旧ガイドラインよりも連結範囲との整合性について踏み込んだ記載。
  • KPI(主要業績評価指標)は経営責任者が評価に使う指標であり、ステークホルダーにとって重要。概ね過去5年間を一覧で記載。
  • 環境リスクマネジメント体制の整備と運用状況の開示。
  • 環境規制の遵守状況について旧ガイドラインより、遵守体制、モニタリング方法、結果について踏み込んだ記載。
  • 「サプライチェーン」から「バリューチェーン」における環境配慮の取り組み方針、戦略等についてと、川上だけでなく川下の影響も考慮する視点に。
  • 環境負荷削減に資する製品・サービス等では、記載する情報・指標が増加。

などです。

 

5.今後の環境ビジネス

 2000年から2003年ごろには環境ビジネスについての調査報告書がいろいろ公表されましたが、近年はそうした報告書は発表されていません。
環境ビジネスについて調べるには、国立国会図書館のリサーチナビが役立ちます。
http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-102216.php

 

上記のホームページには、環境ビジネスについて以下のようなことが書いてあります。

 

●環境ビジネスとは

 環境省、経済産業省等が、市場規模推定等のために定義を示しています。

 

 環境省は、2002年8月に公表した環境ビジネス研究会報告書『環境と経済の統合に向けて』において、環境ビジネスを「産業活動を通じて、環境保全に資する製品やサービス(エコプロダクツ)を提供したり、社会経済活動を環境配慮型のものに変えていく上で役に立つ技術やシステム等を提供」するものであると定義しています。

 

 経済産業省は、2003年6月に公表した産業と環境小委員会中間報告「環境立国宣言」において、環境産業を「環境分析装置」、「公害防止装置」等9分野から成るものと定義しています。

 

 また、OECDは環境ビジネスを、環境汚染防止(装置及び汚染防止用資材の製造、サービスの提供)、環境負荷低減技術及び製品、資源有効利用の3分野から成るものと定義しています。

 

●環境ビジネスの現況

 環境省は、OECDの定義を用いて市場規模等を推計しています。2003年5月に公表した『わが国の環境ビジネスの市場規模及び雇用規模の現状と将来予測についての推計について』において、環境ビジネスの市場規模を2000年時点で29兆9,444億円と推計し、2020年には58兆3,762億円にまで拡大すると予測しています(雇用規模はそれぞれ76万8,595人、123万6,439人)。

 

 一方、経済産業省は、2003年6月に公表した『産業と環境小委員会中間報告「環境立国宣言」』において、環境産業の市場規模を2003年時点で48兆1,210億円と推計し、2010年には67兆3,460億円に拡大すると予測しています(雇用規模はそれぞれ135万9,380人、170万3,700人)。

 

●環境ビジネスを取り巻く環境

 環境ビジネスの中でも特に注目されているのが再生可能エネルギーと燃料電池であり、その市場規模は今後ますます拡大すると見られています。 環境を巡っては様々な法規制が制定、改定されますが、新しい法規制が新たなビジネスチャンスを生み出し、発展させてきているようです。

 

 環境ビジネスの最近の動向については、『日経産業新聞』(日本経済新聞社 日刊 【Z85-335】)2012年2月14日号に、日本産業機械工業会による環境装置受注額が掲載されています。それによると、2011年は前年比8.2%増の5304億円でした。官公需要の落ち込みを、原発向け排水処理装置を中心とした電力業界向けの需要が補いました。

 

6.まとめ

 もう環境ビジネスと普通のビジネスに大きな違いはないと思っています。ビジネスを考える上でのポイントを挙げて見ますと、 需要と供給で、価格と市場規模が決まるのは当然です。ニーズ(潜在需要)とシーズ(潜在要素技術)があり、まだ一般に知られていない技術によって新たな需要が生まれることもあります。ITの発達で新しいビジネスモデルが生まれ、それがデファクト・スタンダードになることもあります。フェイスブックのようなSNSも、戦略的にビジネスに活用しているところも多いです。新しい環境規制が、新たな需要に繋がることも考えられます。TPPなども日本の国内ルールが変えられる可能性があります。自由化が本当にいいことなのか考える必要があるでしょう。ビジネスを考えるのであれば、SNSも使えばいいし、ルール変更がチャンスになるということもいえます。しかしそれが経済格差を広げることもあります。経済格差は、アメリカのウォールストリートでの99%によるデモ(1%の富裕層が80%の富を所有)に見られる通りです。売上や規模の拡大を狙うには国内から海外へということになるでしょう。

 

 週刊現代2012年4月28日号で、大橋巨泉が「今週の遺言」というコラムで、C・ダグラス・ラミスの「経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうかを読んでください!」といっていました。

 

 経済成長というのはイデオロギーだ。地球環境を破壊し、人類が住めない星に。これを「タイタニック」にたとえ、間違いなく氷山に向かっているのに、誰もエンジンを止めようとしない。

 第4章で「ゼロ成長を歓迎する」とネーミング。資本主義が社会主義に勝ったのは「競争原理」が働いたから。その競争の原動力は、「恐怖」と喝破。恐怖を減らすには、相互扶助、社会の安全ネットを確立。恐怖が減れば健全なゼロ成長が可能に。そのために「対抗発展」をすすめている。

 対抗発展は、「減らす発展」。働く時間を減らす、エネルギーを減らす、値段のついたものを減らす等々だ。 次に「経済以外のものを発展させる」こと。経済以外の人間の活動、市場以外のあらゆる楽しみ、行動、文化などを発展させる。

 

 このように書いていました。先進国も持続可能性を考えるときに、この本の考え方が参考になるのではないかと思っています。 ビジネスである程度は成功してお金を持ってないと、なかなかこうしたことも余裕を持って考えられません。上手にお金儲けをしながら、なおかつ99%の人たちも豊かになれるような社会をどう創ればいいかを考える、そういうようなやり方で取り組んでいただいたらいいのではないかと私は思っています。

 

 どうもご清聴ありがとうございました。